「虫歯予防には、フッ素」
皆さん、ご存知でいらっしゃると思います。
歯磨き剤のCMでも宣伝文句に高濃度のフッ素配合と、ありますが、現在、日本の歯磨剤のほとんどにフッ素が入っています(フッ化物配合歯磨剤)。
また、保健所や歯科医院で、フッ素を歯に塗ってもらう(フッ化物歯面塗布)、保育園、幼稚園、小中学校でフッ素の水溶液でぶくぶくうがい(フッ化物洗口)をする、外国の水道水は、フッ素濃度を調節している(水道水フロリデーション、水道水フッ化物濃度調整)をご存知の方もいらっしゃると思います。
一方では、井戸水などフッ素を多く含んでいる自然の水で育った人の歯には、白い斑点や縞模様がある斑状歯(歯のフッ素症)が、見られることがあります。
フッ素は、自然界にある元素のひとつです。
元素記号は、F。
化学で、元素の周期表を「水兵リーベ、ぼくの船、なあに間がある、シップすぐ、くらー、カリウム、カルシウム」なんて、覚えませんでしたか?
その9番目のFが、フッ素です。
フッ化物は、天然に多く存在する元素です。あらゆる場所の土、海水、川の水、湖の水、沼の水の自然環境のすべてに存在しています。
空気中には、海水の飛沫などを源として、極めて微量が、存在します。沼や川の水には、そのまわりの地殻の性質から、0.05から0.2ppm、井戸水では0.1から1.0ppm含まれています。地域によっては、自然の水で10ppmくらいのところもあります。
このppmという単位でフッ化物の濃度を表します。
海水のフッ化物濃度が、1.3ppmであることを覚えておくと分かりやすいです。
必須元素とは、不足すると健康を保てなくなり、生命の維持にも関係する元素です。
例えば、水素(H)と酸素(O)から水(H2O)が、つくられます。
ナトリウム(Na)と塩素(Cl)から食塩(Nacl)が、つくられます。水や食塩がなければ、生物は、存在しません。
身体を構成する元素の存在量により、主要元素と、微量元素に分類されます。
H(水素)C(炭素)N(窒素)O(酸素)Na(ナトリウム)Mg(マグネシウム)P(リン)S(硫黄)Cl(塩素)
K(カリウム)Ca(カルシウム)は、主要元素で、それ以外は、微量元素です。
微量元素のうち、生命と健康の維持に欠かすことのできない元素を必須微量元素といいます。
F(フッ素)Si(ケイ素)V(パナジウム)Cr(クロム)Mn(マンガン)
Fe(鉄)Co(コバルト)Ni(ニッケル)Cu(銅)Zn(亜鉛)Se(セレン)Mo(モリブデン)I(ヨウ素) などです。
必須微量元素に分類されるFe(鉄)は、酸素を運ぶために必要不可欠なヘモグロビンの中心的な存在です。
I(ヨウ素)は、甲状腺の機能にとって重要で、欠乏症では、甲状腺腫を起こします。
さらに、最近の栄養学では、
鉄、亜鉛、銅、セレン、マンガンなどが注目されています。
これらは「日本人の栄養所要量(厚生労働省)」のなかで、食事摂取基準が策定されています。
しかし、この必須微量元素に分類される元素にF(フッ素)があることは、あまり知られていません。
WHO(世界保健機関)とFAO(食糧農業機関)は、1974年に「ヒトの栄養所要量の手引」を発行し、フッ化物を必須栄養素として位置づけています。
必要とされるフッ化物は、微量ですが、特に歯や骨をつくる石灰化に欠かせない物質です。
欧米では、長年、必要な栄養素として、所要量が策定されています。
私たちの生活環境にかなりのフッ化物が存在するのですから、私たちの食べる物の中にもフッ素物が、存在します。食物は、大地や山で育ち、海でとれるものだからです。
日本のいろいろな食品中には、自然の状態でフッ化物が含まれています。私たちが日常的に食べている食物は、かなりのフッ化物を含んでおり、食塩やお茶、魚介類のフッ化物濃度は、比較的高いです。
緑茶の葉は、特に多く、200~400ppmあって、抽出したお茶にも、0.5~2.0ppmくらい浸出しています。水道水や飲料水のフッ化物イオン濃度は、0.1ppm程度ですが、お茶は、その5倍から20倍前後の濃度です。
酒類やビールは、0.2~2.5ppm、酢、しょうゆ、ソースなどに約0.2~1.3ppm、海水から得られた天然の食塩には、21~46ppmというデータがあります。
このように、あらゆる食品や飲料水にフッ化物は、含まれています。フッ化物を全く含まない食物は、存在しないのです。また、そのフッ化物濃度は、海の“生理的フッ化物濃度1.3ppm”と比較しても、その量は、微量では、ありません。
三芳町 ユナイトみよし歯科
歯科衛生士 Y.O