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  お口のおはなし 第19話 メタボと歯周病は関係あるの?

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お口のおはなし 第19話 メタボと歯周病は関係あるの?

お口のおはなし

メタボリックシンドロームとは?

 メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積に、高血圧・高血糖・脂質代謝異常が

個人に合併することで動脈硬化性疾患を発症しやすい状態をいいます。

 

 2014年の日本における死因は上位から悪性新生物、心疾患、肺炎、脳血管疾患です。

これらのうち、心疾患と脳血管疾患は「動脈硬化が原因となって発生することが多い」

といわれる疾患です。

 

 そして、この動脈硬化を進行させるリスク因子としては、高血圧、喫煙、糖尿病、

高脂血症などの脂質代謝異常や、肥満、慢性炎症などがあげられます。

 

 これらのリスク因子は、それぞれ単体では問題とならない軽度なものでも、

重複することで動脈硬化が進行し、心疾患や脳血管疾患を発症させる確率が

高くなります。

 

 なかでも肥満については近年、ライフスタイルの欧米化に伴い、

日本人にも増加していますが、特に内臓脂肪蓄積型の肥満では

インスリン抵抗性を惹き起こし、動脈硬化が進行しやすいことが

報告されています。

 

 また、内臓脂肪が蓄積していると糖尿病、高血圧、高脂血症などが

発生しやすくなり、さらにこれらが重複することで動脈硬化が進行します。

 

 以上の理由から、日本では「ウエスト周囲径が男性85㎝、女性90㎝以上の

内臓脂肪蓄積型肥満」で「高血圧、高血糖、脂質代謝異常の3項目のうち2項目で

一定値以上を示す」場合、「メタボリックシンドローム」と判定されます。

 

 判定された場合、血圧、血糖、脂質それぞれの値は治療を要するほど

高くなくても動脈硬化が進行しやすい状態にありますので、

生活習慣の改善に心がけ、動脈硬化の進行を抑制し、高血圧などの

生活習慣病を発症させないよう努めることが重要です。

 

歯周病とメタボリックシンドロームはどう関係する?

 従来、動脈硬化は脂質代謝の異常が密接に関連した代謝疾患と

とらえられてきましたが、近年ではその進展に慢性炎症も

関与することが知られています。

 

 たとえば、明らかな健常者で、これまでは健康ととらえられてきた

炎症マーカー値の範囲内であっても、歯周病のような軽微な慢性炎症により

高い炎症マーカー値を示す者ほど、将来的な心筋梗塞の発症リスクが高いと

報告されています。

 

 つまり、炎症マーカー値を測定することで、心筋梗塞の発症リスクを知ることが

できる可能性が明らかにされているのです。

 

 さらに、「歯周病原細菌に感染することで炎症マーカーが上昇すること」

「歯周治療を行うことでその値が低下すること」が明らかになっており、

歯周治療に伴う炎症マーカー値の低下は心筋梗塞に対するリスクを

低下させうると言えます。

 

 そして、歯周病という局所の軽微な慢性炎症が、

このように全身に影響を及ぼすまでに増幅される場として考えられているのが、

内臓脂肪などの脂肪組織です。

 

 脂肪細胞とマクロファージの相互作用により、炎症反応が増幅されます。

 

 これらの炎症メディエーターはインスリン抵抗性や肝臓における炎症マーカー値の

上昇を引き起こしてメタボリックシンドロームを悪化させ、

心血管系障害の発症に重要な影響を与えている可能性があるのです。

 

歯周病予防のメリット

◎健康な患者さんへ

 代表的な歯周病原細菌はグラム陰性菌で、

周囲に内毒素を構成するリポ多糖を有しています。

 

 慢性的にリポ多糖が血中に移行する環境では、

肝臓や脂肪組織に脂肪沈着が起きやすいことがこれまでに報告されています。

 

 また、同じような環境下では生体での熱産生が抑制されること、

つまり基礎代謝が低下しやすくなることも報告されています。

 

 これらのことから、歯周病のような慢性炎症が存在している状態では、

やせにくい体質になる可能性も示唆されています。

 

 また、歯周病予防や歯周治療によって炎症マーカー、

すなわち生体の炎症が低下することがわかっています。

 

 感染と炎症のコントロールが可能となれば、

インスリン抵抗性が高くなりにくく、また肥満を是正することに関しても

優位に働くことが示唆されている報告があることから、

歯周病予防や歯周治療は、メタボリックシンドロームの

発生と進展を防ぐことができる可能性があります。

 

◎メタボリックシンドロームの患者さんへ

 歯周治療によって炎症マーカーのみならず、これに伴って、

糖尿病の指標の1つであるHbA1c(ヘモグロビンA1c)値も

改善することが報告されています。

 

 近年日本で実施された臨床研究によると、

抗菌薬を併用した歯周基本治療で得られる改善効果は約0.5%でした。

 これに対し、すでに報告されている世界的なメタアナリシスのデータを

照らし合わせると、歯周治療介入によるHbA1c値の改善効果は

最大1%前後であり、この数値は糖尿病に関連する死亡リスクを

30~40%も軽減するのと同等の効果を表しています。

 

 先述したとおり、歯周病原細菌に感染していると

肥満を是正しにくいことが示唆されていますので、

これらのことから、メタボリックシンドロームを改善し、

糖尿病などの発病や進展を抑制するためにも歯周病予防、

もしくは歯周治療を行うことは、大きなメリットがあると考えられます。

埼玉県入間郡三芳町藤久保855-403

ユナイトみよし歯科  歯科衛生士:H.K

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