お口のおはなし 5月号
こんにちは。最近、暑さが厳しい日が増えてきて、気温差や気圧の変化で体調を崩しやすいという方も多いのではないでしょうか?さらに新生活が少し慣れてきたところでピーンと張っていた気持ちが緩み、疲れを感じている方もいらっしゃると思います。体調不良や疲れによって免疫力が低下すると、お口の中の細菌も悪さをし始めることがあります。歯茎の腫れや痛み、出血などいつもと様子が違うと感じたらお早めに受診をするようにしてくださいね。
3月のお口のお話で赤ちゃんのお口のケアについてお話をさせて頂きました。
それに引き続き、今回は“2歳までの仕上げ磨きのポイント”についてです。
突然ですが、乳歯は何本生えるかご存知でしょうか?正解は20本!そしてそれぞれ生えてくる時期は違います。おおよその時期は下のような図です。
生える順番を理解して頂くと、この後の仕上げ磨きのポイントがわかりやすいかと思います。
・わずかに前歯が生えてきた場合…
生えたての前歯は歯茎との距離が近く歯の周りの歯茎もしっかりしていない為、ブラシが当たると痛みを感じることがあります。前回もお話しましたが、小さい頭のブラシ(タフトブラシなど)で毛の柔らかいタイプを選んでもらい、毛先を使って優しく細かく磨いてください。
・前歯が生え揃ってきた場合…
磨く面積が多くなるので、ここから仕上げ用歯ブラシを使用していきます。
注意点として、イラストのような上唇をめくった裏側に上唇小帯というスジが存在します。
ここに触れると痛がることがあるのと汚れも溜まりやすいので、縦磨きで当たらないようにしましょう。ガーゼなど併用しても良いかと思います。
スジがほとんどないお子さんは、横磨きにしても大丈夫です。
・奥歯まで生えてきた場合…
奥歯も生えてくる時期になると、様々な物を食べていると思います。
汚れを落とせるよう、毛先にコシがある歯ブラシでしっかりと当てましょう!
生えたての奥歯は歯茎が覆っているので通常の仕上げブラシだと磨きにくいです。そういったところは部分的にタフトブラシを使い分けましょう。
奥歯がしっかりと生えてくると、隙間がない歯と歯の間もでてくるので虫歯になりやすいです。フロスも使いましょう。
前歯は外側と内側の2面だけですが、奥歯になると噛む面も磨かなくてはなりません。外側と内側と中央の3面を意識しましょう。
2歳ぐらいになればお子さん本人にも磨いてもらっても良いでしょう。鏡を見ながら、親御さんや兄妹と一緒に真似してやってみてくださいね。
もちろん、その後の仕上げ磨きも大事です。
そして、2歳までのフッ素濃度の基準が変更になったことはご存知でしょうか?
フッ素を使用することは虫歯予防にとても効果的ですので使用量を守って活用しましょう!
※厚生労働省より引用
お子さんのご機嫌もあるので全く磨けない時もあるかと思います。完璧にやろうとしなくても良いのです。
イヤイヤ期で磨かせてくれない時は、朝は下の歯で夜は上の歯を磨くようにしても良いと思います。
成長には個人差はつきものです!
早いお子さんもいればゆっくりなお子さんもいます。周りと比較せず個人のペースや性格に合わせて虫歯からお子さんを守りましょう。
歯科衛生士 M.S
みなさんの中に「一生懸命歯磨きをしているはずなのに、虫歯の治療を受けている」という方はいらっしゃいませんか。その一方で、「それほど熱心に歯磨きをしていないのに、なぜか虫歯ができない」という方はいらっしゃらないでしょうか。
虫歯になりやすい人と、なりにくい人は確かにいます。そしてもうひとつ、「歯磨きをしていれば虫歯にならない」ということはありません。
患者さんが虫歯になりやすいかどうか評価するとき、私たち歯科医療者は、歯を壊す「リスク要因」と、歯を守る「防御要因」のバランスを考えます。
リスク要因とはつまり「歯の脱灰(=歯が溶けてしまう)を起こしやすくする要因」です。
防御因子とは「歯の再石灰化(=歯を修復する)を起こしやすくする要因」です。
リスク因子と防御因子のバランスは、脱灰に傾いたり、再石灰化に傾いたりと、シーソーのように常に変化しています。虫歯の治療で最も重要なことは、シーソーを再石灰化に傾けることなのです。
・リスク要因のひとつであるダラダラ食べについて
飲食回数が多いほど脱灰が進む!!
↓の図は、「飲食後のお口のなかのpHの変化」を示した模式図です。
糖や炭水化物を含むの飲食物を摂取するたび、お口のなかでは、細菌の生み出す酸によりpHが低下します。一定のpHより低くなると、歯の成分が溶け出し(脱灰)、その後時間をかけて成分が歯に戻ってきます(再石灰化)
飲食の回数が多くなる=お口のなかで脱灰の時間が多くなるほど再石灰化の時間が短くなり、虫歯のリスクが上がります。
虫歯のリスクを上げないためには「摂取する砂糖の量を少なくする」よりも、「飲食回数が増えないようにする」ことが大切です。
とくにダラダラ食べは歯の成分が溶け出す脱灰の時間を増やしますので、極めて危険であり、規則正しい食生活が虫歯予防には大切なのです。
歯科衛生士 H.I
今回は、子供の歯ブラシの選び方についてお話していきます。
目安として、歯ブラシに記載されている対象年齢の歯ブラシを使用して下さいね。
小学生に入学したのをきっかけに、大人用の歯ブラシを使用しているお子さまも多いので、年齢に応じた歯ブラシ選びが必要です。
・歯が生え始めた時~2歳
現在、離乳食開始がだいたい生後6ヶ月からと言われています。
歯の萌出は 個人差がありますが、歯が生え始めたら歯磨きもスタートです。
しかし、子供は違和感を覚えて、なかなか磨かせてくれません。
そんな時はタフトブラシがお勧めです。通常の歯ブラシとは違い、ヘッドが小さいので、違和感を覚えにくいのです。
更に生え始めたら、子供歯ブラシでOKです。
1人では磨けない時期なので、一緒に選び「歯磨き」という行動に参加させましょう!
・3歳~5歳
乳歯列完成期。この頃になると、朝や食後、寝る前に歯磨きをすることに慣れてきます。
行動が活発になり、歯ブラシを持ったまま走ったりするので、一緒に見守りながら磨く習慣をつけましょう。
・6歳~12歳
「乳歯」から「永久歯」へ生えかわります。
歯列が凹凸し、歯ブラシが当たりにくくなるので、鏡を見ながら磨いたり、横から入れて1本磨きもお勧めです。
ベッドの幅が小さく、コンパクトな歯ブラシが使いやすいです。
小学校高学年になると、仕上げ磨きを嫌がる子も出てくるので、1人磨きが出来るように指導していきましょう。
・12歳~17歳
保護者の目が離れ、外で買い食いを始める年齢になってきます。
歯磨きもサボりがちです。
そんな時期は、ざっくりでも磨いてもらうよう大きめなヘッドの物で。
また、ホルモンバランスが安定せず、歯肉が膨張し出血しやすくなる子もいます。
その際は、テーパード毛(毛先が細く歯周ポケットに入りやすい)の歯ブラシがお勧めです。
きちんと磨けている子は、コンパクトヘッドが良いでしょう。
歯ブラシの使用日数が経過すると、毛先が広がり、弾力性もなくなります。
プラークの除去率が悪くなるため、
歯ブラシの交換目安は1ヶ月が望ましいです。
歯科助手 Y.O.
春は新しい出会いの季節でもありますので、口臭をしっかりケアして会話を楽しみたいものです。しかし、口臭は自分ではなかなか自覚できなかったり、逆に心配してしまう方も少なくありません。そこで、今回は「口臭について」学んでいきましょう。
・口臭の原因
口臭にはいくつか種類があります。例えば起床時などは誰でも口臭が強くなりますし、食べ物による口臭は時間の経過とともに減少していきます。
ただ、継続的に強い口臭がある場合は、次の問題が原因があるかもしれません。
①歯周病
歯周病の原因菌が増殖する過程では、臭い成分のメチルメルカプタンか多く発生することがわかっています。
メチルメルカプタンは玉ねぎやキャベツが腐ったような臭いといわれ、歯周病の進行とともに臭いも強くなっていきます。
②虫歯
虫歯で歯に穴が開いて歯磨きが不十分になったり、重症化して神経や血管が腐食したり、膿がたまったりすることで、虫歯も口臭の原因になる場合があります。虫歯由来の口臭は、どぶのような臭いと表現されます。
③ドライマウス
唾液には抗菌作用や浄化作用があるため、唾液の分泌が減るドライマウスは口臭の原因のひとつになります。加齢や薬の副作用、全身疾患などさまざまな原因によってドライマウスは引き起こされます。そのため、まずは原因を突き止めることが大切です。
・口臭をセルフチェックする方法
セルフチェックの方法にはいくつかありますので、チェックしやすい方法で行ってみてください。ただし、起床直後、空腹時、緊張時は唾液の分泌量が減り、どなたでも口臭が強くなりやすいので、このタイミングは避けてチェックしてください。
①「唾液」でチェック
洗って清潔にした指で歯や歯ぐきなどを触り、指に付着した唾液の臭いを嗅いでチェックしてみましょう。臭いが気になる場合は、口臭が強い可能性があります。
②「フロス」でチェック
歯間清掃後のフロスの臭いをチェックしてみましょう。毎日フロスで清掃しているにもかかわらず臭いが気になる場合は口臭が強い可能性があります。
③「コップ」でチェック
コップに自分の息を吹きかけフタをしたら、一度深呼吸をしてから、コップの中の息をチェックしてみましょう。不快な臭いを感じた場合は、口臭が強い可能性があります。
④「舌」でチェック
舌の表面に付着する白っぽい舌苔は、口臭の原因のひとつです。舌苔が付着している場合は、舌を清潔なコットンなどで拭い、その臭いをチェックしてみましょう。
なかなかご自身では自覚しにくい口臭ですが、セルフチェックで臭いが気になった場合やしばらく検診を受けていない場合は、歯科検診でお口の中の状態を確認してもらうと安心でしょう。
歯科衛生士 S.A