お口のお話2月号
こんにちは。
2月に入り寒さが厳しい日が続くと思えば、20度を超える暖かい日もあり、寒暖差で体調が優れないという方もいらっしゃるかと思います。インフルエンザをはじめとした感染症もまだまだ流行しているので、体調を崩さぬよう、お体ご自愛下さい。
今回のお口のお話は、乳歯~大人の歯並びになるまでの特徴についてや、おくすり手帳や初診で詳しくお話をお伺いすることの必要性をお話します。ぜひ、最後までご覧ください。
☆乳歯の特徴
乳歯の形を大人の歯と比べてみると、乳歯の前歯は、下から生えてくる永久歯を小さくした形をしています。一番奥の乳歯は、その後ろに生える永久歯(第一大臼歯)と似ています。
乳歯は永久歯に比べ、かむ面の溝は浅く複雑な形をしています。また、乳歯のエナメル質や象牙質の厚さは永久歯の半分程度で、酸にも溶かされやすい特徴があります。このため、乳歯は永久歯に比べて歯がすり減りやすく、むし歯が進みやすくなっています。むし歯になるとすぐに神経まで進んでしまいます。
☆3歳~6歳ごろ
3歳になると上下合わせて20本の乳歯が生えそろい、6歳くらいまでは乳歯の歯並びとなります。
乳歯の歯並びは、前歯の歯と歯の間にすき間が空いています。見た目が悪く気になると思いますが、このすき間は大きな永久歯の前歯と生え変わるときに使われるので重要です。すき間がなくても、年齢が上がるとすき間ができることもありますが、前歯のすき間がまったくない場合は、永久歯の歯並びに影響が出る場合があります。乳歯の奥歯は、生えかわる永久歯よりも元々大きいので、歯と歯の間にすき間がなくても無理なく永久歯と交換します。
☆乳歯と永久歯の交換
乳歯と永久歯の交換は下図のようになります。乳歯(A・B・C・D・E)は生えかわるので脱落歯とも呼ばれます。永久歯には、乳歯が抜けて生えかわる後継永久歯(1・2・3・4・5)と、乳歯列の奥に生える加生歯(6・7・8)があります。
☆6歳ごろ
下あごの乳前歯の後ろから永久前歯が生えてきます。永久前歯は舌で押し出されてエスカレーター式に斜め前方に移動することで、乳前歯は自然に抜けます。ただし、乳前歯がなかなか抜けないときは、歯を抜く必要があります。
☆仕上げみがきが大切
6歳ごろになると、乳歯列の奥に永久歯(第一大臼歯)が生えてきます。生えたての頃は歯の一部は歯肉に覆われていて、歯ブラシでの清掃がむずかしい状態となります。この時期は、歯の質が弱くむし歯になりやすく、むし歯になると進行が早いため、ていねいに歯をみがくことが大切です。この時期はまだお父さんやお母さんの仕上げみがきが必要となります。
☆歯の根っこの成長
歯は根っこ(歯根)をつくりながら生えてきます。生えたての第一大臼歯をエックス線写真で見てみると、生えてきた6歳ごろは、歯の根は短く、先が開いているのがわかります。第一大臼歯の根の先は、9歳~10歳くらいに閉じて完成します。
☆8歳ごろ
永久歯の前歯(1・2)と奥歯(6:第一大臼歯)が生えてきました。これに挟まれた部分には、上下左右それぞれ3本の乳歯が残っています。
☆上顎前歯の交換期の特徴
上あごの永久歯の前歯が生えたばかりの頃、歯と歯の間にすき間がみられます。このすき間は、隣の前歯や犬歯が生えてくることで中心に向かって押されて、自然に閉じていきます。
永久歯の前歯のすき間は見た目は気になりますが、一時的なもので自然に閉じていくことが多いです。
☆9歳~11歳ごろ
永久歯の前歯(1・2)と奥歯(6)に挟まれた3本の乳歯(S・D・E)が、9歳~11歳にかけて順番に永久歯に生えかわっていきます。
☆12歳ごろ
小学校を卒業する12歳ごろには、すべての乳歯が抜けて第一大臼歯までの大人の歯並びになります。
☆12歳以降
12歳以降、中学生になるとさらに奥に永久歯(第二大臼歯)が生えてきます。親知らずを除く永久歯のかみ合わせのの完成です。この歯並び・かみ合わせで生涯使用していく大切な28本です。
この28本をむし歯や歯周病で失うことにならないように、ていねいな歯磨きと規則正しい食生活を心がけ、歯科医院での定期的なクリーニングでお口の中をきれいにしましょう。
歯科衛生士 H.K
初診時の問診で、服用されているお薬についての項目があるのは、なぜかご存知でしょうか?
お体の治療とお口の治療は別物と思われがちですが、全身の健康状態や持病、その治療薬はいろいろな歯科治療に影響を与えます。代表的なものを少し説明させてください。
【坑血栓薬】
お医者さんから「血をサラサラにするお薬」などと説明されているかもしれません。
服用されている場合、抜歯などの外科処置や歯周病治療などの出血を伴う処置の後、血が止まりにくくなります。
【骨粗鬆症の薬】
骨吸収を抑制するために服用されるのが主に『ビスフォスフォネート製剤』です。
この製剤は、抜歯やインプラントなどの外科処置の後に、細菌感染から顎の骨の壊死という重大な合併症がみられたといった報告がされています。
【坑てんかん薬】
脳の興奮を抑えて、てんかんの発作を防ぐ薬です。
この薬を長期間服用した場合、歯肉に腫れがみられることがあります。
【カルシウム拮抗薬】
血管を拡張させて血圧を下げる薬です。
副作用として歯肉の腫れや増殖が起こることがあります。
坑てんかん薬やカルシウム拮抗薬を服用されている方は、口腔清掃やかぶせものなどの不適合で悪化する恐れがあるので、メンテナンスが大切になります。
問診表の項目は、服用を事前に把握することによって準備をし円滑に対応するためのものなのです。
お薬手帳をお持ちの方は、ご持参いただけると幸いです。
歯科では、鎮痛剤や抗生剤を処方することがあり、重複服薬を避ける意味もあります。
また、長期受診の場合は途中でお薬の変更や追加されることもあるので、その都度お知らせください。
なお当院では、こちらからかかりつけの病院へお手紙を書かせていただき、健康状態を確認させていただくこともありますのでご了承ください。
CS H.W
ユナイトみよし歯科では、初めて来院した際に、専門のスタッフによるカウンセリングを行っております。
あまり歯科では知られていないと思いますが、トリートメントコーディネーターと言う役割を果たすスタッフが当院には在籍しています。歯科を受診することになったきっかけから、細かい事でも気になっていることや今まで他の歯医者さんに対して不快に思ったことや不満だったこと、不安に感じたことなどお伺いする時間を設けさせていただいてます。できるだけ『来て良かった』と思っていただけるように、事前にこのような時間を取らせていただいています。
その中では当然、今1番気になっている箇所や日常的によく飲む飲み物、タバコを吸うかどうか、補助清掃用具と言ってフロスや歯間ブラシをどのぐらいの頻度で使用しているかなど少し細かくお話を聞いていきます。
場合によっては、その方のお仕事内容や家族構成などもお伺いさせていただき、少しでも今感じている歯に対する不安が取りのぞけるように手助けさせていただこうと思っております。その一環として心臓、腎臓、肝臓に大きいご病気がないか、感染症などの既往歴はないかをお聞きします。血圧や糖尿病と診断をされ、お薬でのコントロールはどのぐらいできているかなどしっかりと確認をさせていただき、口腔内の治療をしていきます。
これからの季節、花粉症の方は症状が出やすい時期に入りますので、お薬が一時的に増えたり、減ったり、新たに飲み始めなければならなかったりする場合は、ぜひお気軽にお声掛けください。
お口とお体の健康はつながっていますので、お口だけが綺麗な状態でもお体の状況によっては歯周病が進行しやすくなることもあります。そういったことが大きな問題にならないように、早め早めに定期検診やクリーニング等でも気軽に来ていただけたらと思います。
TC M.H
むし歯は、歯のある人なら誰でもなる可能性がある歯の病気です。むし歯は遺伝ではなく、 むし歯になりやすい環境と習慣によりつくられます。 小さい頃から正しい習慣を身に付けると、むし歯になりにくい環境をつくることができます。
まずは、むし歯菌をお口の中に定着させないこと。丁寧なはみがきと規則正しい食生活を心がけて、むし歯ゼロのお口をつくりましょう。
(1)むし歯菌を定着させないとは?
むし歯菌は、歯の表面で酸をつくり、歯を溶かします。代表的な菌は、ミュータンス連鎖球菌(ミュータンス菌)と乳酸桿菌です。特にミュータンス菌は、子どものむし歯の始まりと進行に重要な働きをします 。むし歯ゼロのためには、ミュータンス菌を定着させないことが、とても重要です。むし歯菌は、3歳ごろまでにの表面に定着します。その量が少なければ、むし歯になりにくいお口の環境をつくることができます。ミュータンス菌は、むし歯の多い家族やお友達からうつります。生後 19~31 ヶ月がうつりやすい時期です。この時期にうつらなければ、その後は、むし歯菌の少ない、むし歯になりにくいお口の環境をつくることができます。まずは、 歯科医院でのむし歯治療や定期検診と定期的なプロのクリーニングでご家族皆さんのお口の中をきれいにしましょう。 また、 お子さんの砂糖の摂取に注意しましょう。むし歯菌のいないお口でむし歯ゼロです。
(2)丁寧な歯磨きとは?
歯が生えてきたら、下の歯から優しくゆっくり歯磨きを始めましょう。歯磨き習慣の始まりです。歯ブラシに慣れるようにしましょう。歯ブラシを持ちたがるようになったら、お子さん自身が歯磨きを始めましょう。 年齢とお口に合わせて子ども用の歯ブラシを使います。第二大臼歯が生え始める頃まで、仕上げ磨き用の歯ブラシで、お子さんをひざの上に寝かせて仕上げ磨きをしましょう。歯は、でこぼこしていたり、隣の歯とくっついていたり、磨きにくいところがたくさんあります。そういうところにプラークは溜まります。歯の平らな部分だけでなく、でこぼこした噛む面や歯と歯の間も丁寧に磨いたり、一日一回は、デンタルフロスを使ったりしましょう。歯を溶かすプラークが歯の表面になければ、むし歯はできません。きれいな歯でむし歯ゼロです。
(3)規則正しい食生活とは?
むし歯菌は、甘いものでも、甘くなくても炭水化物から歯を溶かす酸をつくります。しかし、お口の中に食べ物がない間つまり、食べていない時間は、唾液が歯を守ってくれているのです。ながら食いやダラダラ食べをせずに、1日3食の食事や年齢に合わせて間食の時間を決めて食べましょう。歯は、酸性度の高い食品や飲料でも溶け始めます。特に酸性度の高いコーラなどの炭酸飲料、ジュース、イオン飲料や乳酸菌飲料を哺乳瓶やペットボトルでちょこちょこと長い時間をかけて飲んでいると、歯は長時間溶け続けることになってしまいます。飲み物の種類や飲み方、与え方には気をつけましょう。規則正しい食生活でむし歯ゼロです。
☆フッ素(フッ化物)を上手に使ってむし歯ゼロに!
フッ素は、歯を強くする・溶け出した歯質を戻す・むし歯菌の動きを弱める働きがあります。フッ素は、 歯科医院で塗る濃度の高いものとご家庭で使うフッ素配合の歯磨き剤や洗口剤など濃度の低いものがあります。 濃度の高いものは、 年に数回定期的に塗布しますが、濃度の低いものは、毎日使えます 。歯磨き剤や洗口剤を毎日使用してお口にフッ素を供給することが大切です。当院でおすすめしているオラブリス洗口は、無味無臭ですので、歯磨き剤の味に敏感なお子さんも使っていただいています。フッ素を毎日使用してむし歯ゼロです 。
歯科衛生士Y.O