皆さんこんにちは。
一気に秋が深まり、朝晩の気温差が大きくなってきましたね。
空気も乾燥し、これからますます体調管理が大切な時期となりました。
手洗いうがい、しっかりとした休息をとり、一緒に元気にこれからの季節も過ごしましょう!
さて、今月は歯科についてのな~ぜな~ぜ?な気になる情報をご紹介いたします!
まずは、残存歯数と食生活、運動は関与している?という疑問について。
はい!残存歯が少なくなると、摂取する食品や栄養に偏りが生じ、運動機能の低下に繋がります。
そもそも残存歯とは、お口の中に残っている歯のことを意味します。つまり、虫歯や歯周病などで、抜け落ちてしまった歯ではなく、お口の中に存在している歯を指します。
この残存歯というのは、多ければ多い方が良いというのはなんとなく予想がつきますね。
残存歯が多ければ、それだけ噛み合う歯も多くなるだけ咀嚼能率も上がる。
日本では75歳の地域在住高齢者を対象に5年間の縦断研究を行った結果、歯の欠損を有する者は、歯の欠損の少ない者と比較してタンバク質やビタミン、食物繊維の摂取料が減少しているとの報告です。
また、海外においても、アメリカの成人約9000人のデータから、歯数が20本以下の者は、28本以下の者に比べ、果実類、野菜類の摂取が少ないことを明らかにしています。
以上のことから、残存歯は食生活に大きく関与していると言えます。
また、咬合力が低いと緑黄色野菜、魚介類の摂取が少なくなり、その結果として抗酸化ビタミン、食物繊維などの摂取が少なくなるだけではなく、握力や歩行速度が低下することも研究の結果明らかとなっています。
さらに、残存歯が少なくなると咬合力は低下することから、咀嚼・嚥下の運動機能にも関与していると言えます。
現在、病気ではないけれど、年齢とともに、筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい状態であるフレイルが注目を集めています。
フレイルは低栄養の状態になると、サルコペニア(筋力量の減少および筋力低下、運動機能の低下が進行する状態)を発症し、食欲低下、消費エネルギー量の低下をもたらし、さらに栄養不足が進むという悪循環(フレイルサイクル)(図1)に陥るといわれています。
残存歯数は、フレイルサイクルの2つの要因に関与していることから、「よく食べ、動く高齢者は健康」に大いに関わっていると言えるでしょう。
つぎは、代用甘味料って何?どんな効果があるの?というな~ぜな~ぜについて。
代用甘味料とはスクロース(砂糖)の代わりに用いる甘味物質の総称です。
高血糖を生じない甘味料、低カロリーの甘味料、むし歯の原因にならない甘味料などがあり、糖尿病やダイエット、虫歯対策などにも用いられます。
代用甘味料は、大きく分けると糖質系と非糖質系に分類されます。
糖アルコール(キシリトール、エリスリトールなど)や非糖質系甘味料(アスパルテーム、アセスルファムKなど)は体内で消化や吸収、代謝されにくく、低カロリーゼロカロリー食品 (清涼飲料水、ゼリーなど) に使用されています。
これらの甘味飲料を摂取すると、 通常の飲料よりも体重やBMI、体脂肪率などが低値を示すと報告されています。
しかし、習慣的な血糖値を示すHbA1cは飲用水と比較して高くなったり、体重やBMI の増加、2型糖尿病の発生率を上昇させるという報告もあります。
代用甘味料の一種であるアスパルテームやアセスルファムKは、摂取しても満腹感をもたらすホルモンが分泌されにくいため、過食につながる可能性が考えられます。
つまり、低カロリー・ゼロカロリー食品は減量や体脂肪率の低下に寄与する可能性がある一方で、一定以上摂取することで体重増加や血糖管理の悪化をもたらす可能性もあるのです。
このように、エネルギー源とならない代用甘味料はカロリーダウンに役立ちそうですが、 減量や糖尿病の予防・治療に役立つかは、はっきりとわかっていません。
ダイエットや糖尿病の改善などを過剰に期待することは避け、普通の清涼飲料水よりもエネルギーが少ない、という程度の認識でうまく取り入れていくとよいでしょう。
歯の表面に付いている歯垢(プラーク)は膨大な数の細菌のかたまりです。これらの細菌の多くは、私たちが口にした糖質の一部を分解して酸を産生し、歯の表面を酸性にします。細菌が糖質を分解し酸を産生することを「発酵」といいます。
十分に酸性になると歯が溶け出し、歯を構成しているヒドロキシアパタイトからカルシウムやリン酸が抜けていきます。これを「脱灰」といいます。
歯の表面を覆うエナメル質はpH 5.5より低くなると急速に溶け始めるとされ、このpHを「臨界pH」と呼びます。しかし、私たちの口にある唾液には、糖質や酸を洗い流し、酸を中和しpHをもとに戻す力があり、さらに、カルシウムやリン酸を含むことから、少し溶けてしまった歯の表面を修復することができます。これが歯の「再石灰化」です。
日に三度の食事で発酵性の糖質を取り、歯の表面のpHが低下しても健全な歯でいられるのはそのためです。
しかし、発酵性糖質を含む間食を頻繁にとっていると再石灰化は脱灰に追い付けなくなり、ついに歯は実質的に欠け始めてしまいます。
これがう蝕(虫歯)の始まりです。
間食の頻度をできるだけ減らし、間食する場合にはできるだけ発酵性糖質を含まない食品を選ぶことが、う蝕予防のために重要です。
砂糖などの発酵性糖質は食事の時に摂取し、食後の歯磨きを心掛け、間食をとる場合には、う蝕予防につながる機能性食品を摂取するとよいでしょう。
とくに、ガムなどのよく噛んで食べる食品は、唾液の分泌を促し、歯の再石灰化効果を高めてくれるのでおすすめです。その際も、発酵性糖質を含んでいないもの(キシリトール、エリスリトール、ステビアなど)を確認しましょう。
つぎは、お口から全身に影響する?お口と栄養のおはなし~実践編~についてのな~ぜな~ぜです。
口呼吸は口腔機能を崩壊させ、全身の機能低下を引き起こします。
その原因として胎生期から小児期、成人期、老年期にかけての栄養不足状態が大きく関与しています。また、歯周病やむし歯も栄養状態が影響しており、噛み合わせの崩壊が最終的に口腔機能の崩壊につながるのです。
◎鼻詰まりやアレルギー傾向になる
(鼻炎、食物アレルギー、ハウスダストアレルギー、花粉症など)
◎自立神経不安定または精神神経機能の異常が起こる
(口呼吸、過呼吸、逆流性胃炎、過敏性大腸炎、鼻炎や下痢、落ち着きがない、不安、鬱、イライラ、めまい、耳鳴りなど)
◎筋力の低下
(虚弱、運動機能の低下など)
・呼吸量が少なく安定した状態では口を閉じていますが、呼吸量が増大するに従って補助的に口呼吸を行うようになります。また、精神的な不安定さや不安感は小児に爪噛みや指しゃぶりをさせ、その結果低位舌になり口呼吸の原因になります。
・舌は上下顎の中におさまっているので、顎が小さくなれば歯並びが悪くなるだけでなく、舌は咽頭部に押し出され気道や鼻腔が狭くなり上気道抵抗症候群UARSを発症します。上顎が狭くなることで舌が口蓋につけられなくなり、低位舌になることで口呼吸になります。
・ビタミンDはカルシウム代謝に関わっており、骨格全体の発育に重要な栄養素です。しかし近年ビタミンDの欠乏が上顎の劣成長を起こしたり、歯並び悪くするといった論文報告が出てきています。
・糖質の過剰摂取によって血糖値が上昇するとインスリンなどの血糖値を下げるホルモンが過剰分泌され低血糖の状態になります。そうするとアドレナリンやコルチゾールが分泌され交感神経が優勢になりイライラや不安などの精神的ストレスを引き起こし、夜間の歯ぎしりや口呼吸を起こします。
このような症状を起こさない、改善する為に栄養学的観点から実践できることを紹介します。
1.血糖値変動を抑える
・朝はパンやご飯のみではなく、野菜から食べる。(野菜自体が血糖値を下げ野菜から食べると血糖値変動を少なくする。野菜に含まれる抗酸化物質が脳細胞の酸化を防ぐ。)
・砂糖、100パーセント果汁ジュース、異性化糖の入ったジュース、カルピス、ヤクルトなどを毎日飲まない。(液体状態だと消化せず直接血管内に入り込むため極端に血糖値が上昇する。)
・よく噛んで食べる。(噛む回数が多いと血糖値の上昇が少なくなる。よく噛むことが口腔機能を高める。)
・パンよりは白米、白米より発芽玄米が良い。パスタやうどんより10割そばが良い。(血糖値変動が少なくそばや発芽玄米はビタミンB群を多く含む。)
・適度な運動をする。(血糖値を下げ、筋肉をつけることで血糖値変動を少なくする。適度な運動は自律神経を安定させる。)
・コンビニの菓子類などを毎日食べない。(糖質を過剰に含んでいるものが多く、脳のシナプス伝達に影響与えるトランス脂肪酸を含む。)
2.オメガ3、オメガ9系の油を取る
・炒め物はオメガ9型のオリーブ油を使用する。(オリーブ油は熱に強く抗炎症作用、殺菌作用が強いが高価。)
・ナッツ類を食べる。(ナッツ類にオメガ3、9型が多く含まれる。)
・オメガ3系のアマニ油、えごま油などをドレッシングで使用する。(オメガ3系は熱に弱いのでドレッシングでとる。)
・魚を食べる。(特に青魚にオメガ3系のdh影が多く含まれる。)
・揚げ物はオメガ9系の紅花油、菜種油(キャノーラ油)、ひまわり油を使用する。(オリーブ油より安価なオメガ9系の油。)
3.腸を弱らせない
・パン食を減らす。(グルテンによって腸漏れを起こすとアレルゲンやウィルスが血管に侵入しやすくなると同時に脳の神経伝達に影響与える。)
・野菜や果物を毎日食べる。(繊維質が腸を安定させる。)
・牛乳は1日1杯までにする。(カゼインによって腸漏れを起こしたアレルゲンやウィルスが血管に侵入しやすくなると同時に脳の神経伝達に影響与える。乳糖不耐によって腸が弱くなる。牛乳貧血を起こす。)
4.鉄とビタミンDを摂取する
・0歳で母乳育児の場合は鉄を摂取するためにフォローアップミルクを使用する。(0歳時で母乳育児の場合、貧血になるケースが多い。フォローアップミルクは鉄分が強化されている。)
・0歳で母乳育児の場合はビタミンDサプリで摂取させる。(0歳時は母乳育児の場合ビタミンD不足になり、O脚やクル病の原因になる。)
・日焼け止めやUVファンデーションを常用する場合はビタミンDサプリを摂取する。(ビタミンDを食物から摂取することが困難で基本的に紫外線を浴びることでビタミンDが生成される。)
・生理のある女性は鉄サプリを摂取する。(血液が抜けるので女性の9割が鉄不足で食事で補うことが困難。)
5.ビタミンB群とタンパクを摂取する
・毎日肉を食べる。(ビタミンB群が豊富で脳内物質や免疫物質の元となるアミノ酸バランスが肉は100%。)
今までの食生活すべてを一気に改善するのは難しいし、気が重いですよね。
一気にやろう!と思うのではなく、今日は朝からジュースを飲んだから、午後からは砂糖の入っていない飲み物にしよう!など、できること、小さいことから始めてみてくださいね!
つぎは、よく歯科医院に来られた患者様からも質問を受ける、電動歯ブラシについてお話しします。
ここ数年で新しい機種やモデル、替えブラシが登場している電動歯ブラシ。
電動歯ブラシは、高速に振動させたブラシを歯に軽く当てるだけで効率よく磨くことができる歯ブラシです。
ある歯科医院で来院患者さんに行ったアンケートによると、半数近くの人が、「電動歯ブラシを使ったことがある」と回答しました。
一方で、電動歯ブラシを使い始めた患者さんのうち2/3は途中で使わなくなってしまいました。せっかく購入しても、汚れが取れないと感じる人、操作が難しいと感じる人が多くいるのです。
そこで、電動歯ブラシの特徴や、よくある質問に答えていきます!
まず、電動歯ブラシは反復回転と、直線的な音波振動に大きく分かれます。
反復回転式は、円形で歯面に合わせやすく、パワフルに磨くことができます。しかし、手用歯ブラシとは形が変わる為、慣れるまでは扱いにくい場合があります。
音波振動式は、歯間に入りやすく奥歯が磨きやすいなどの特徴があります。
Qどれを使ったらいいですか?
選び方のポイントとしては、予算や、メーカーの好み、プラーク(歯垢)除去のパワー、歯ぐきへの当たりの柔らかさ、振動や音、ハンドルの大きさや重さなどの感覚といった項目があります。
ブラシの当て方、動かし方にはコツがある!
電動歯ブラシの多くは、音波振動により歯ブラシの毛先が動いているので、手磨きのように小刻みに動かさなくても良いのが特徴ですが、歯列に合わせて方向を変え、移動させることは必要です。手用歯ブラシと同じように電動歯ブラシ本体を動かしてしまう場合は、慣れるまでイチ、ニッサンッと歯ブラシを移動させるタイミングを声掛けすると歯一本ずつ当てておくということがわかりやすくなります。また、プラーク(歯垢)が残りやすい部位はそこから磨き始めることで解決することがあります。
Qどんな人に向いていますか?
歯ブラシを細かく動かすのが上手にできない方、手の不自由な方、着色が気になる方、プラーク(歯垢)が付きやすく、除去しにくい方におすすめです!
電動歯ブラシを検討してる方、磨き方について詳しく聞きたい方、ぜひお気軽にスタッフにお聞きください!
今月は、お口にかかわる様々なな~ぜな~ぜについてお話ししていきました。
今回お話しした内容についてもう少し詳しく知りたい!や、なにか気になること、お困りの際は医師やスタッフに声をかけてくださいね。
歯科衛生士 S.A&W.K&Y.K 歯科助手 Y.T