トランス脂肪酸は、脂質の構成成分である脂肪酸の一種です。
植物油などからマーガリンやショートニングなどを製造する際や
植物油を高温にして脱臭する工程で生じます。
トランス脂肪酸を多くとり続けると、動脈硬化を促し、心疾患の危険性を高めます。
脳の60%は脂質でできていて、体内で取り入れる油によって大きく影響を受けます。
トランス脂肪酸は分子構造がプラスチックに似ていて、脳細胞の構成要素の一部として侵入し、
神経伝達機能に影響を与える可能性があります。
その結果、「人格」「感情」「記憶」に悪影響を与えたり、攻撃性を増し、発達障害を引き起こす
可能性もあります。
注意欠如・多動性障害のある子どもは、それがない子どもと比較して、赤血球中のトランス脂肪酸の
レベルが高くなります。
特に脳の形成が旺盛な胎児期、乳児期においてトランス脂肪酸を摂取することは、非常に危険です。
〇注意欠如・多動性障害、情緒不安定、うつ、注意力集中力の低下、攻撃性増加、認知症などの精神疾患
〇心臓病、糖尿病、高血圧、肥満など血液系疾患
部分的に水素添加した油脂を用いて作られたマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングや
それらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物やスナック菓子など
油を多く含む加工食品に入っています。
健康のためにとるとよいとすすめられている油は、タネから抽出されたシードオイルです。
シードオイルの多くは、トランス脂肪酸が少ないといわれています。
えごま油は、シソのタネから、アマニ油は、シソ科・アマという植物からとれた油で、
不飽和脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)が摂取できます。
オメガ3は、熱によって酸化しやすいので、えごま油やアマニ油の100%ドレッシングなどを
使う方法が有効です。
サラダ油やコーン油、ごま油、大豆油、肉など私たちが一般的に摂取している油はオメガ6系の油で、
必須脂肪酸ではありますが炎症やアレルギーを促進する性質があり、鼻づまりによる口呼吸を助長する
可能性があります。
それに対してオメガ3系の脂肪酸は、炎症を抑える効果があり、アデノイド(咽頭扁桃)、
扁桃腺(口蓋扁桃)などの咽頭部の慢性炎症や口腔内、そして腸などの慢性炎症などに抑制的に
作用します。
また、オメガ3系の欠乏によって、集中力の欠如、倦怠感、不眠などが引きおこされます。
炎症は生命体において必要な反応ですが、必要以上に炎症が起こりやすくなることは、
全身の慢性炎症を誘発します。(歯周病は慢性炎症です。)
現代の日本人は、オメガ6系の油が多く、オメガ3系の油の摂取が少なくなってきています。
理想的にはオメガ6:オメガ3が2:1ぐらいですが、現代社会では10:1ぐらいになっていると
言われています。
口腔機能発達不全症の原因となる鼻づまりや中耳炎、扁桃腺肥大、アレルギーなどがある場合は、
オメガ3の摂取が重要です。
またオメガ3の摂取は、炎症を抑え歯周病の予防につながります。
DHA(ドコサヘキサエン酸)は主に魚に含まれている脂肪酸で、心臓血管系や脂質代謝において
重要な栄養素です。脳の海馬に多く存在し、脳機能維持に必須です。
摂取不足は脳の発達障害、うつ病、記憶力や集中力の低下、アルツハイマー型認知症などの
精神疾患の原因になります。
DHAは、神経新生、シナプス形成、神経細胞分化、神経突起伸長、膜流動性の維持、抗炎症作用、
抗酸化作用などに関与し、脳機能維持に重要な役割を果たしています。
オメガ3の一部は、DHAに変換されます。
DHAは、赤ちゃんの脳や視覚の発達に必要であるとともに、早産のリスクを減らすといった報告も
ありますが、妊娠中平均で約3割の方が不足しています。
オメガ3は魚介類に多く含まれていますので、日常の食生活で魚介類をしっかり食べることが重要です。
その他、くるみにも豊富に含まれています。
オメガ9のオリーブ油のエクストラバージンオイルには、抗炎症作用があるオレイン酸が含まれています。
抗菌作用、抗酸化作用も確認されており、口腔機能発達不全症の原因となる鼻づまりやアレルギーなどの
耳鼻科系疾患がある場合は、オメガ3と合わせて推奨すべき脂肪酸です。
同時に歯周病、歯肉炎などの予防にもオメガ9摂取が有効です。
オレイン酸は、熱に強く酸化しにくいので炒め物などに使用できます。
※当院には、口腔栄養指導士の資格を持った歯科衛生士が現在3名います。
栄養は、お口の健康と関連していますので、これからも発信していきます。
埼玉県入間郡三芳町藤久保855-403
ユナイトみよし歯科 歯科衛生士 H.K
※本日3月21日は、ユナイトみよし歯科の開業記念日(17周年)です。
記念すべき日に、「お口のおはなし 第100話」を更新させていただきました。