お口のおはなし 第83話 顎骨壊死の発症リスクが高まるのは どんな時なの?
お口のおはなし
●歯科治療によるリスクはどんなときなの?
負担の大きな歯科治療である、歯を抜く治療、
インプラントの治療、歯ぐきを切る治療、
ならびに歯の根っこの先端を外科的に切除する治療は、
顎骨壊死を起こすリスクを高めます。
部位としては、粘膜が薄い部分で、触ってごつごつ
している上あごの真ん中や下あごの内側の出っ張り
(口蓋隆起、下顎隆起)で起きやすいといわれています。
お口の清掃状態が悪いことも顎骨壊死の
リスクとなります。
さらに、合わない入れ歯をつけていると、
入れ歯のせいでできた傷から
顎骨壊死になることもわかっています。
また、嚙みしめる力が強い方も
注意が必要だとされています。
つまり、日ごろから患者さんには歯、歯ぐき、
そして粘膜を含めた口腔環境を清潔に保つ努力を
していただくとともに、
私たちが行うプロフェッショナルケアを
受けていただくことが非常に重要なのです。
●薬を休んでもリスクは下がらないの?
服用されているお薬に、歯科治療で顎骨壊死を起こす
可能性があるのは事実ですが、とても低い確率で、
ほとんどの場合では起こらないため、
安心してくださって大丈夫です。
自己判断で薬の使用を中断しないようにしてください。
どうしても使用の一時中断が必要だと判断した場合は、
歯科医師から患者さんのかかりつけ医に
ご相談いたします。
顎骨壊死を起こすリスクがある薬は、BP製剤、
デノスマブ、ならびに血管新生抑制薬です。
薬によってもリスクはやや異なります。
特に注射製剤のBP製剤(ゾメタ)や
デノスマブ(ランマーク)、
血管新生抑制薬(アバスチン)を
使用している場合は注意が必要です。
一方、飲み薬のBP製剤や骨粗鬆症治療で使う注射製剤の
デノスマブ(プラリア)を使用している方の顎骨壊死の
発現頻度は限りなく0に近いため、
大きな心配はいらないと考えられますが、
注意はしておきましょう。
リスクは薬剤の使用期間とも関連しているようです。
アメリカでは4年以上の服用で顎骨壊死の発症リスクが
2倍になり、ヨーロッパでは36ヶ月以上の服用で
顎骨壊死のリスクが高くなると報告されています。
また、ステロイド製剤や抗がん剤などと
BP製剤を併用して治療を受けている場合、
BP製剤を単独で使用している患者さんよりも
顎骨壊死の起こるリスクがとても高いことが
報告されています。
●休薬は予防につながらないの?
薬剤の使用を中止しても顎骨壊死の予防には
ならないため、自己判断で使用を
中止してはいけません。
特に、デノスマブを使用している患者さんは、
中止すると数ヶ月後にはリバウンド現象が起こり、
薬剤を使い始めたころよりもさらに骨密度が低下して
骨折リスクが上昇するため、注意が必要です。
※治療を受けて1ヶ月が経過しても、痛んだり、
膿がでたり(嫌なにおいがする)、
腫れたりする場合には、すぐにご相談ください。
埼玉県入間郡三芳町藤久保855-403
ユナイトみよし歯科
歯科衛生士 H.K