骨吸収抑制薬のBP製剤やデノスマブといった薬を使っていると、抜歯やインプラント治療といった比較的
負担の大きな治療の後で、まれに痛み、不快な臭い、膿がでる、骨がむき出しになるといった症状を
ともなって傷がずっと治らないことが起こります。
検査をしてある条件を満たすと「顎骨壊死」と呼ばれます。
顎骨壊死の状態を放置しておくと、痛みや不快な臭いなどがひどくなり、食事・会話に支障が出たり、
見た目・不快感といったお口の困りごとが増えていってしまいます。
そうしてお口の質が低下した結果、生活の質にも悪影響を与える可能性もあり、注意が必要です。
いったん顎骨壊死を発症すると、一般開業歯科では治療ができませんので、大きな病院に転院して
治療を受けていただく必要があり、長い通院期間を余儀なくされてしまいます。
場合によっては、顎骨離断といって壊死したあごの骨を切断しなければならない場合もあります。
BP製剤を使用している患者さん方に顎骨壊死が起こることが世界で初めて報告されたのは2003年
ですが、初めて顎骨壊死が報告されてから15年以上が経過した現在でも、なぜ薬剤関連顎骨壊死に
なるのかはほとんどわかっていません。
そのため確実な治療法も存在しないのが実情です。
近年、免疫システムの異常が薬剤関連顎骨壊死と関連する可能性が高いことが多くの基礎的・臨床的な
研究で報告されており、いずれは原因が特定されるかもしれません。
最近では、顎骨壊死部分を外科的に切除することで治癒することが報告され始めましたが、
薬剤関連顎骨壊死を引き起こす高濃度の薬物治療を受けている方では、たとえ外科的に切除しても
再発することが多く、その科学的根拠は少ないままになっています。
ですから、現状では顎骨壊死にならないための予防や早期発見がもっとも大切です。
埼玉県入間郡三芳町藤久保855-403
ユナイトみよし歯科
歯科衛生士 H.K