お口のおはなし第64話
酸蝕症とは?
日々、患者さんのお口の中を拝見しておりますと、
虫歯、歯周病と同じくらい酸蝕症が多く見られます。
歯科医院で
「歯が、白く濁った色になっています」
と言われたことは、ありませんか?
酸蝕症ってご存知でしょうか?
①酸蝕症とは?
酸蝕症とは、酸によって歯が溶かされる病気です。
歯の表面のエナメル質は、リン酸カルシウムでできている
人体で最も硬い組織です。
ところが、強い酸に触れると化学反応を起こして分解し、
歯のリンとカルシウムが溶けだして、歯が溶けてしまいます。
エナメル質が溶けてしまうと、
その下にある軟らかい象牙質がむき出しの状態になり、
食べものを噛んだり歯みがきをしたりする時に起きる摩擦で
どんどんすり減ってしまいます。
すると、冷たいものがしみる知覚過敏症になったり、
むし歯が一気に進行したりするなど、
様々なお口のトラブルを引き起こします。
この現象を「歯の酸蝕(さんしょく)」といい、
酸蝕によって歯が病的に傷んでしまった状態を
「酸蝕症」といいます。
酸蝕症にかかった歯の特徴としては、
・知覚過敏を起こして冷たいものがしみる
・歯全体が丸みを帯びる、先端が丸みを帯びる
・エナメル質が白く濁って見えたり、
内部の象牙質が透けて見えて黄ばんで見える
・前歯の表面がスベスベしてツヤがある
・前歯の先端部分が透けて、半透明や透明になる
ヒビが入ったり、欠けたり、ザラついたりする
・酸蝕により奥歯のすり減りが加速し、
深い溝やへこみがみられる
などが、あげられます。
②酸蝕症の原因
酸蝕症の原因は、
体内から口のなかに酸が出てくることによる内因性のもの、
酸性度の強い飲食物を口にするなど外因性のもの
の二つに分けられます。
内因性の病因は、胃食道逆流症(逆流性食道炎)、
摂食障害(過食症、拒食嘔吐)、アルコール依存症などです。
胃酸がお口の中に上がってくることによって起こります。
外因性の病因は、酸性度の高い飲食物や医薬品、
サプリメントなどの過剰摂取が考えられます。
内因性の病因は、それらの治療が必要です。
外因性の病因は、毎日の生活習慣から改善したり、予防したりできます。
気を付けたい酸性の飲食物としては、
スポーツドリンク、栄養ドリンク、
ジュース、コーラなどの炭酸飲料、
グレープフルーツ、レモンなどの柑橘類、
お酢などです。
普段のお口の中は、pH7.0ですが、
エナメル質が溶け始めるのは、pH5.5です。
飲み物は、お水、無糖のお茶、牛乳にしておくのが
歯のためには、安心であることが、
飲み物のpH一覧からご理解いただけると思います。
③スポーツドリンクは、健康的?
健康的なイメージのスポーツドリンクですが、
実は、酸も糖分も多い飲み物です。
また、経口補水液に比べて水分吸収量が
大きく劣っているため、
スポーツ後や脱水症状の際に飲むのには、
あまり適していません。
特に運動中や運動後は、唾液が減っているため、
歯が酸の影響を更に受けやすい状態です。
そのため、スポーツドリンクを水の代わりに飲んだり、
勉強や部活動の時にずっと飲み続けると、
歯に大きなダメージを与えてしまいます。
スポーツドリンクを飲むときは、
だらだら飲まない、飲み過ぎない、
スポーツドリンクの後に水を飲むなど、
スポーツドリンクの飲み方には、十分に気を付けましょう。
④酸蝕症にならないために
では、酸蝕症にならないためにどうしたら良いでしょうか?
(1)食事は、時間を決める
規則正しい食事 だらだら長く食べない
→お口の中を長く酸性にしておかない
(2)酸性食品のとりすぎやだらだら飲みをやめる
→なんでもとりすぎは、よくありません
ペットボトル入りのジュース、甘いコーヒーを
長い時間をかけて少しずつ飲まない
(3)食べたら口をすすぐ
→酸をできるだけ早く洗い流す
(4)フッ素を使う
→フッ素入り歯磨き剤を使う
フッ素洗口をする
歯質を強化し、酸に耐えられる歯にする
(5)歯科医院で定期的なチェックを受ける
→歯科医院でのフッ素塗布、定期的な予防処置などプロのケアを受けましょう
毎日の生活習慣から酸蝕症を予防しましょう。
当院では、酸蝕症についてのリーフレットや
飲み物のpHの一覧表など、
分かりやすい資料を患者さんにお渡ししております。
ご希望の方は、お気軽にスタッフにお声がけ下さい。
また、患者さんお一人お一人に合ったセルフケアのお話しや
生活習慣についてのお話しもさせていただいております。
定期的な予防処置にお越しください。
ご不明な点は、歯科医師、歯科衛生士にお尋ね下さい。
埼玉県入間郡三芳町 ユナイトみよし歯科
歯科衛生士 Y.O